松永はきもの資料館で「西洋靴150年展」。わが国靴産業発祥を記念し12月27日まで。

1870(明治3)年3月15日、西村勝三が東京・築地入船町に日本で初めての靴工場、伊勢勝造靴所を開いた。2020年は、それから数えて150年。今年は、靴産業発祥150周年の記念すべき年だ。

開業日の3月15日は「靴の記念日」となっているが、今年は3月15日を皮切りに150周年を記念し次代に繋ごうというイベントが数々予定されていた。しかし、そこに新型コロナウィルス感染拡大。150周年記念イベントは、中止や延期を余儀なくされた。

感染収束は未だ不透明ではあるが、休業要請が解かれる中、記念イベントが順次、開催されている。8月末の新宿伊勢丹における「靴博」、9月19〜20日の渋谷スクランブルスクエアでの「靴ミュージアム 日本の革靴150周年」などだが、10月2日、広島・福山市の松永はきもの資料館で「西洋靴150年展」が幕を開けた。

松永はきもの資料館は、日本はきもの博物館が閉館を余儀なくされたのに際し、福山市がその施設と収蔵品を引き継ぎ、2015年に開館したものだ。

そもそも日本はきもの博物館は、所在する福山市松永の地場産業であった下駄製造を同地にもたらした丸山家四代目、丸山茂樹しによって、1978年に創設され、下駄や草履など日本古来の履物と西洋からもたらされた靴を収蔵し、その点数は1万点を超えた。

「西洋靴150年展」は「日本の革靴、明治から令和、これから」をテーマに総展示点数170点余り。資料館所蔵の国指定重要有形民族文化財指定品や150年の歴史を彩った靴。これに浅草の皮革産業資料館所蔵品、リーガルコーポレーションのリーガルアーカイブス所蔵の国産靴、また靴歴史研究・収集家である稲川實氏や国産古靴収集家の井上凉二氏などの個人コレクションを加え、西洋から渡来した靴が、いかにして日本の靴になったかを具体化している。

またテーマの「これから」に繋がるものとしては、広島や福山など広島県内でハンドメイド工房を営む靴職人や同県ゆかりのクリエーター10人の作品を展示。その他、個人所蔵のハイヒール・コレクションが彩りを添えている。

展示場所は、資料館第6展示室の企画展示室だが、常設展示第2展示室の「国産靴のなりたち」とも連携されており、併せて観ることをお勧めする。

会期は、12月27日まで。但し、同資料館の開館は「金・土・日曜及び祝日」のみなので要注意。

  • 松永はきもの資料館(あしあとスクエア)
    〒729-0104広島県福山市松永町4-16-27 TEL084−934−6644開館日:金・土・日曜及び祝日
    開館時間:10:00〜16:00
    入場料:個人300円/団体240円
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