5月26、27日に行われた東京レザーフェアの初日、(一社)日本皮革産業連合会(皮産連・藤原仁会長)が公募していた、サステナビリティに関わる二つの認証・認定ロゴマークの最優秀作が発表された。
二つのロゴマークとは、まず「日本の革企業 サステナビリティ認証」、それと「日本エコレザー認定」ロゴの一新だ。
前者は407作品、後者は568作品、合計975作品の応募の中から最優秀作に選ばれたのは、次の作品。
「日本の革企業 サステナビリティ認証」は、東京都在住の橋本博之(はしもと・ひろゆき)さんの作品。桜と“Sustainability”の「S」をモチーフにし、認証を取得した各業種・業者が用途に合わせてステッカーやタグ、刻印として使用することを想定し考案されている。
「日本エコレザー認定」新ロゴは、大阪府在住の阿武広希(あんの・ひろき)さんの作品。“Japan Eco Leather”の頭文字“J・E・L”を一つのシンボルとして表現。エンブレムのような存在感、またクラフト感のあるフォントデザインによって安心感や信頼感を与え、長期的に使用しても古びないことが意図されている。
審査に当たったのは、池田正晴(ジャルフィック代表)を審査委員長に、坂口昌章(シナジープランニング代表)、及川キーダ(画家・イラストレーター)、須藤千賀(武蔵野美術大学造形学部助手)の4氏。
最優秀作には賞金50万円と賞状&トロフィー、また優秀作各3名には5万円と賞状が贈られた。
- CSRへの取り組みや有害物質使用禁止にも着目
「日本の革企業 サステナビリティ認証」は、これからスタートする新制度だ。
新制度の創設について、皮産連事務局長の吉村圭司さんは、次のように語る。
「皮革業界ではLWG(Leather Working Group)認証が広がっているが、認証取得費用が非常に高額であり、環境に配慮した革づくりを行っているすべてのタンナーが取得という訳にはいきにくい。また、革に関わるサステナビリティの実現は、タンナーの活動だけに留まらない。そこで革問屋、製品メーカー、小売店他サプライチェーンを構成するすべての業者を対象に、高い環境意識を持って製品づくりに取り組んでいることを認証しサステナビリティの実現を促進することを目的に創設した」。
特徴は、SDGsの17の開発目標に照らして各企業が三つ程度目標を設定し、その取り組み状況と達成度合い、並びに人権や労働環境などCSR(Corporate Social Responsibility=企業の社会的責任)への取り組みを認証の対象にしていることだ。
「日本エコレザー」は、2006年に制定・導入され、同ホームページに掲載の認定リストによると、皮革787、ハンドバッグ、靴などの皮革製品356、合計1143(いずれも2022年6月1日現在)の皮革及び同製品が認定されている。
今回の認定ロゴ一新は、「認定制度の強化を図り一般消費者へのさらなる普及・浸透」を目的としている。
「認定制度の強化」は、ラグジュアリーブランドやスポーツメーカーなど世界的なステークホルダーが加盟するZDHC(Zero Discharge of Hazardous Chemicals=有害物質排出ゼロ)や繊維製品のエコテックスと新しい環境基準が広まる中で、使用禁止有害物質を明確にすると共に認定基準を見直し、世界標準の認定にレベルアップすることを意図している。
「日本の革企業 サステナビリティ認証」は、2023年4月の立ち上げをにらみ、「日本エコレザー」は、2022年10月から新ロゴの使用がスタートする予定である。