靴好き・靴マニア必見 !マノロ・ブラニクの秘密を解き明かすドキュメンタリー 「マノロ・ブラニク トカゲに靴を作った少年」

靴が好き、特にハイヒール好きが恋い焦がれる靴デザイナー、マノロ・ブラニクのドキュメンタリー映画「マノロ・ブラニク トカゲに靴を作った少年」が、12月23日から全国ロードショー公開中だ。

マノロにインタビューしたことがある。デザインについて語った言葉が忘れられない。

「ボタンを三つ、四つ、五つと付ける。アンクルストラップを長いリボンにする。留めるのも、外すのも、結ぶのも、解くのも、容易ではない。その不自由さが、女性らしい優美なしぐさを引き出す」。

不自由は、セクシー。マノロ美学の根っこに触れたような気がした。

マノロは、スペイン領カナリア諸島の生まれ。アフリカ大陸の北西沿岸に浮かぶ群島。タイトル「トカゲに靴を作った少年」は、そこで過ごした幼少のマノロ。チョコレートの包み紙でトカゲの靴を作って遊んでいた。

フェティシズム的なものに通じるような、ある種の性向が見えて来そうだ。

マノロの靴デザイナーとしての才能を発見し、靴のデザインに専念するように勧めたのは、当時の米版「ヴォーグ」の編集長、ダイアナ・ヴリーランドだ。

靴デザイナーとして成功を収める道のりは、1960年代以降のファッション史を辿っているようだ。そしてその道のりでマノロと関わり、親交を持つ人たちが語る。

きっとマリー・アントワネットも、マノロに頼むと思ったから。彼には遊び心があるわ——ソフィア・コッポラ(映画『マリー・アントワネット』でマノロに靴を依頼した映画監督)

彼は靴を生き物として扱うのよ。靴は動物ではないし、人間でもないけれどね。マノロの想像が生んだ生き物よ——ペネロペ・ツリー(モデル)

性的な奥深さがあるの。古代ギリシャの靴にはね。靴と古典学は密接に関わっている。マノロが生み出す靴は、彼の思考であり、彼の会話であり、異なる文化の融合だと言える——メアリー・ビアード(ケンブリッジ大学 古典学者)

靴に携わる者が“止めて!”と言いたくなってしまうのが、まさしくアート作品である、あのデザイン画を描くマノロを映し出すシーン。またイタリアの靴工場では、グラインダーを操っている。その手許には、ヒール。

インタビューした時、マノロは、言った。

「私は、ヒールを愛している。なぜなら、ヒールが非日常の世界に持ち上げてくれるから。そのヒールは、シンプルで、セクシーで力強く、新しいフォルムをしていなければならない」。

マノロは、そのヒールのプロトを自分で削り出すのだ。指で細かく、細かくフォルムを確かめながら。

スクリーンに現れる現在のマノロは、チャーミングという言葉がぴったり。
ドキュメンタリーを観たあなたは、靴デザイナー、マノロ・ブラニクに、どんな言葉を与えるだろうか。

都内は、新宿ピカデリー、Bunkamuraル・シネマで公開中。上映館他の詳細は、下記HPで。
http://manolo-tokage.com/

(C)HEELS ON FIRE LTD 2017

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