(C)HEELS ON FIRE LTD 2017
靴好き・靴マニア必見
マノロ・ブラニクの秘密を解き明かすドキュメンタリー
『マノロ・ブラニク トカゲに靴を作った少年』
靴が好き、特にハイヒール好きが恋い焦がれる靴デザイナー、マノロ・ブラニクのドキュメンタリー映画「マノロ・ブラニク トカゲに靴を作った少年」が、12月23日から全国ロードショー公開中だ。
マノロにインタビューしたことがある。デザインについて語った言葉が忘れられない。
「ボタンを三つ、四つ、五つと付ける。アンクルストラップを長いリボンにする。留めるのも、外すのも、結ぶのも、解くのも、容易ではない。その不自由さが、女性らしい優美なしぐさを引き出す」。
不自由は、セクシー。マノロ美学の根っこに触れたような気がした。
マノロは、スペイン領カナリア諸島の生まれ。アフリカ大陸の北西沿岸に浮かぶ群島。タイトル「トカゲに靴を作った少年」とは、そこで過ごした幼少のマノロ。チョコレートの包み紙でトカゲの靴を作って遊んでいた。
フェティシズム的なものに通じる、ある種の性向が見えて来る。
マノロの靴デザイナーとしての才能を発見し、靴のデザインに専念するように勧めたのは、当時の米版「ヴォーグ」の編集長、ダイアナ・ヴリーランドだ。
靴デザイナーとして成功を収める道のりは、1960年代以降のファッション史を辿っているようだ。
そしてその道のりでマノロと関わり、親交を持つ人たちが語る。
きっとマリー・アントワネットも、マノロに頼むと思ったから。彼には遊び心があるわ。−−ソフィア・コッポラ(映画監督)
*映画『マリー・アントワネット』の靴を依頼
彼は靴を生き物として扱うのよ。靴は動物ではないし、人間でもないけれどね。マノロの想像が生んだ生き物よ。
−−ペネロペ・ツリー(モデル)
性的な奥深さがあるの。古代ギリシャの靴にはね。靴と古典学は密接に関わっている。マノロが生み出す靴は、彼の思考であり、彼の会話であり、異なる文化の融合だと言える。−−メアリー・ビアード(ケンブリッジ大学 古典学者)
靴に携わる者なら、“一時停止して!”と言いたくなるシーンがある。まさしくアート作品である、あのデザイン画を描くマノロ、そしてイタリアの靴工場では、グラインダーを操るマノロだ。その手許には、形を表しつつある木のヒールがある。
インタビューした時、マノロは、言った。
「私は、ヒールを愛している。ヒールが非日常の世界に持ち上げてくれるから。そのヒールは、シンプルで、セクシーで力強く、新しいフォルムをしていなければならない」。
マノロは、ヒールのプロトタイプを自らの手で、指でフォルムを確かめながら、自分で削り出していたのだ。。
フィルムに現れる現在のマノロは、チャーミングという言葉がぴったり。
ドキュメンタリーを観たあなたは、靴デザイナー、マノロ・ブラニクに、どんな言葉を与えるだろうか。
都内は、新宿ピカデリー、Bunkamuraル・シネマで公開中。上映館他の詳細は、下記HPで。
http://manolo-tokage.com/
(C)HEELS ON FIRE LTD 2017