shoes
Posted on 2012/03/01
自然の一枝で足を飾る
フェミニン&ナチュラルなサンダル
「oto」は、靴デザイナー、乙浩成(おと・ひろあき)さんのブランド。デビューから10年余り。有力百貨店やブティックが認める実力派ブランドだ。この2月には「LEATHER JAPAN 2012」に参加。NYデビューも果たした。
2012春夏は、フェミニンなディテール・デザインが光るが、甲の中央に花が咲いたようなデザイン。ハ虫類風の型押しの革とライニングの間に針金を仕込み、その両端から中央に掛けて切り込みを入れ、その一つ一つをカーブさせて、花のようなデザインを作り出した。自然の中にある一枝、あるいは一葉で足を飾ったようにも見えて、フェミニンかつナチュラル。今シーズンにぴったりのサンダルだ。
また今シーズンから帽子ブランド「Birth」を始めた。
http://www.oootttooo.com/
OTO
Birth
自分自身の悩みから生まれた、
大きなサイズに対応するモードシューズ
「私は靴のサイズが43(日本サイズだと27.5㎝位、大きい!)。履ける靴がないことはないけれど、デザインは全く選べない。ましてやトレンディなデザインの靴なんて、全く不可能。誰も作ってくれないなら、自分で作ってしまおうと、知り合いのデザイナーにデザインを頼んで昨年、立ち上げたのが、このブランドです」。
こう語ってくれたシャルロットはフランス人。その言葉通り、スポーツ・ディテールを取り入れたバレンシアガ張りのサンダルからハイヒールのプレーン・パンプス、バレリーナ的なローヒールも。
そして肝心のサイズは、34~45。日本サイズに換算すると、21.5~29.0㎝くらいになる。小さいサイズにも展開しており、日本人には嬉しいサイズレンジだ。
彼女と会ったのは、昨秋のGDS(独・デュッセルドルフで開催の世界的靴見本市)だが、パリの展示会にも出展している。拡販にかなり本気だ。
http://www.charlottevanel.com/
VANEL
温もりと心が交差する
ハンドメイド・シューズ
ポーランドと聞くと、連想ゲームのように浮かぶのが、クラコウ。プーレーヌ、あるいはシュナーベル・シューエとも言うが、15世紀頃に流行した、異様に爪先が長い男性靴のことだ。クラコウ(クラクフとも言う)という街で生まれたので、この名が付いた。
「TREK」は、そのポーランド製。靴をよく作る国柄なのかもしれない。
メッシュは靴型を使わず、手で靴の形に編み上げて行く。インドのワラチに似ているが、ワラチがサンダル的印象なのに対して、しっかり靴だ。肉厚のヌメ革製であることが要因だろうが、その素材の選択からしてお国柄。靴の歴史を培って来た国なのである。
そして、もう一つ理由がある。輸入販売のTWO FOUNDATIONが輸入しているが、代表の森下正雄さんは毎シーズン、ポーランドを訪れ、製造するファミリーと1週間ほど共に過ごし、商品として成り立たせるためのポイントを問わず語りに伝えている。
「TREK」には、そうした交流も一緒に編み込まれているのだ。
http://www.two-foundation.com/
TREK
曽田耕初挑戦のブーツは、
ちょっとパンクの匂いがする
曽田耕は個展を作品発表の場として靴づくりに取り組む、いわば靴作家。
昨夏、7年振りという靴作家合同展を開催した。集まったのは、相馬紳二郎、セツリュウ、増満兼太郎、それに初参加の野島孝介の5人。7年という月日をどう暮らしたか。それは当然、靴に出る。
いちばん挑戦的だったのは、曽田耕だった。
新作は、初挑戦のブーツ。素材は、ヌメ革。裁ち落としの革、つまり靴やカバンなどを裁断した後の革の切れ端を、無作為にコラージュするのは、曽田が得意とする手法だが、それが取り入れられたアッパーのしつらえ。手づくりという言葉から浮かべるイメージが、そのまま形になったような手法は、いつもの曽田耕なのだが、何やら違う。ドクター・マーチンに通じる雰囲気が漂っている。
ステッチダウンの編み上げブーツというスタイルが、マーチンを連想させるのか。それとも曽田耕の中には、パンク魂が潜んでいるということなのだろうか。
http://www.sodako.com/
Ko
現地生産でエシカル・トレードを目指す、フィッシュレザー製のエコ・ブランド
ドイツ人のステファン・ブラント氏によるエコ・ブランドだ。
なぜエコなのかと言うと、主要素材が次の二つだから。
クロムなどの鉱物性の鞣し剤を使わずオーガニックな方法で鞣した、エコ・フレンドリーなフィッシュレザー。
リサイクルしたヨットの帆。
そして物づくりに留まらず、社会的責任という認識に立ち、エシカル・トレーディングを掲げている。
フィッシュレザーは、ブラジルなど南米の魚養殖場で廃棄される魚を活用しているが、そのためブラント氏は、エクアドルに支社を設立し、昨年、完全に独立した法人に。そしてパナマに本拠地を置き、南米各地で調達される素材をエクアドルに輸入、それをエクアドルの自社工場で製品化し再輸出という仕組みで生産・流通を行っている。
つまり再輸出することで素材の輸入税を無税とし、また自社での一貫生産で、コストを抑え、消費者にとってのベスト・プライスを実現。これがブラント氏の道徳的トレーディングの仕組みという訳だ。
http://www.elbkind-hamburg.com/
ELBKIND
底回りのジュートが、より“らしい”
バルカナイズのスニーカー
「TST」は、タナカユニバーサルのブランド。ブランド名は、社長でありデザイナーの田中清司さんに由来している。
コレクションは、スニーカー感覚のカジュアルが中心。生産は、チェコやルーマニアだ。
と聞いても、現在では驚きはしないが、田中社長が、東ヨーロッパでの製造を始めたのは、1990年代中頃。自由主義経済へと歩み始めて間もない頃だ。チェコなどの社会主義国は第二次世界大戦以前は靴産業が盛ん。社会主義時代は軍用の生産などを行っており、バルカナイズ製法の技術もあった。田中さんは、そこにいち早く着目し、その技術でテイストのあるスニーカーを生み出すことに成功したのだ。
2012年春夏は、きれいな色使いが特徴だが、アッパー生地を一度洗いに掛けユーズド感を出すなど、ナチュラルなテイストで表現しているのが特徴。また、その感覚に合わせて、底回りにジュートを使用したものも。軽く、ナチュラルに仕上げいるのが特徴だ。
国内ではアパレルを中心に販売しているが、海外展開にも積極的。ヨーロッパを中心に販売を伸ばしている。
http://www.tanaka-u.co.jp/
TST