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Posted on 2013/4/13
160㎡のヒューマンなスペース、ディミトリ・ゴメーズのビスポークも健在
「クロケット&ジョーンズ」は説明の要なし。そのパリ・マドレーヌ店が、この3月、リニューアル・オープンした。マドレーヌ店は、世界で唯一ビスポークを手掛ける店としても知られているが、ディミトリ・ゴメーズ氏のビスポーク・アトリエも、新たな雰囲気に生まれ変わった。
クロケット&ジョーンズが、古切手&コインショップを改装し、マドレーヌ寺院のすぐ側に、パリで初めてのショップを開いたのは、1998年のこと。それがマドレーヌ店だが、当時の売場面積は40㎡。翌年、倍に拡張しビスポークのアトリエを構えたが、今回のリニューアルで1998年当時の4倍の160㎡になった。これは、ロンドンとニューヨークの旗艦店と同規模だ。
内装を手掛けたのは、フランスでもインテリア・センスが抜群と評価される新進建築家、エマニュエル=ピエール。ちょっと色褪せたユニオンジャツクの旅行カバンや飛行機の模型、エリザベス女王の肖像画がいたずらっぽく置いてあったり、19世紀のプライベート・コレクションから写真や絵画、書籍をセレクトしてさり気なく飾ってある。あたかもセレブリティの私邸サロンに招かれたような雰囲気に浸れる、アットホームな来客への心づかいが感じられる。ファンクショナルなショッブが多い中、エマニュエルがフレンチ・タッチの鬼才を発揮して、ウイットに富んだヒューマンなスペースを作ることに成功している。
ビスポーク・アトリエは、ドアで仕切られた店奥。そもそもフランス人のボチエ(靴職人)、ディミトリ・ゴメーズ氏との出会いによって考案された、マドレーヌ店独自のもの。
クロケット&ジョーンス社オペレーション・ディレクター、アンジェリック・カサン氏は「今後も、他のショップでビスポークをやるつもりはない」と語った。
オーダーからデリバリーまでのリードタイムは、約6ヶ月。固定客はヨーロッパ人が多いが、日本からわざわざ来店するクライアントも少なくないとのこと。
「日本人は、靴の品質を見極める目がある」と、ディミトリ氏は、日本人を高く評価する。
クライアントやプレスを招いて行われた新装パーティでは、創立者、チャールズ・ジョーンズの曽孫にあたるマネージング・ディレクター、ジョナサン・ジョーンズが、クレール夫人、セールスとマーケティングを担当する、娘のフィリパ さんと共に、多くの招待客をもてなした。
ジョナサン氏は、「日本の方は、当社の靴を本当に愛してくださいます」とコメント。「愛される理由は?」と尋ねると、「イギリスの工業都市、ノースサンプトンの当社工場で、丹精込めて作った完成度の高さ」と靴づくりの自信のほどをのぞかせた。
本国ロンドンもさることながら、このパリのショップは、以前にも増して目が離せない、靴マニア垂涎のスポットになりそうだ。
●所在地=14 Rue Chauveau-Lagarde, 75008 Paris TEL+33-144 940-174