Fashion&Culture
Posted on 2013/3/1
2013春夏のテーマは、ずばり「Harajuku girls of Tokyo」
「2012AWは、みんなに身近に感じてもらえるようなコレクションを考えましたが、今回は、ルックスに負けない意志と気持ちを持つ女の子達に身に付けて欲しいと思いながらデザインしました」。v
Dr.Martensは、2012秋冬からアギネス・ディーンとのコラボレーションを展開しているが、2シーズン目のコレクションへの思いを、アギネスは、このように語っている。
そして、テーマに掲げたのが「Harajuku girls of Tokyo」。要するにパンクスとゴス。英国と日本、それぞれのサブカルチャーの融合だ。
それを象徴するのが、アイボール、つまり瞳。アギネスの瞳をスキャンしグラフィック化したものをアイコンとして使用。このアイコンが、さまざまにデザインに取り入れられている。
ワークウエアをベースにクロップド丈に仕上げたカバナシャツには、夏の海のようなブルーのアイボールを全体にプリント、またTシャツにも印象的にプリント。そして極めつけは、アイボール・バッグ。真っ白な真ん丸ショルダーにブルーのアイボールを大きくプリント。これを肩に街を歩いたら、アギネスの瞳が東京をゆらゆらと散策するようだ。財布もある。
そして靴は、1990年代に発売されていたDr.Martens オープンエアウエアコレクションにアギネスがインスパイアされサンダル・コレクションとなった。ソールを現代風に改良したが、チャンキーな雰囲気はそのまま。大きなリボンやワンストラップの可愛らしさが、Harajukuゴスの雰囲気だ。
シャツ8,920円、Tシャツ7,245円、バッグ26,250円、靴はすべて19,950円(いずれも税込み)。意外に買いやすい価格が嬉しい。
ウエアとアクセサリーは「ドクターマーチンストア」9店舗とオフィシャルオンラインストアで、シューズコレクションは全国のドクターマーチンストアで3月から発売中。

加賀美 敬の10年に渡る靴作品80点が一堂に
5月5日まで開催
オランダ・ワールウェイクにあるオランダ皮革靴博物館で「Kei Kagami−A Retrospective」が、2月3日から開催中だ。
加賀美敬は、ロンドンをベースに活躍するファッション・デザイナー。その代表作は、ジッパードレス。YKKのジッパーを主素材にデザインされたドレスだ。その他、糸仕掛けによって操り人形のように動くドレス、噴水と一体になった水のドレス、あるいはコットン・ファブリックを土壌として水耕栽培で育てたクレソンを素材としたドレス等々。非常にコンセプチュアルであり、アートのようだ。しかし「着られない」ことを意図してデザインした“水のドレス”以外は、すべてが着られる。
そしてこれらの服に必ず加わるのが、靴だ。
加賀美は、明治大学で建築を学び、丹下健三のアシスタントを務めるが、そこからファッションに転身した。靴と建築の類似性は、よく言われるところだが、2011年夏、浅草のエスペランサ靴学院で行われたトークショーで、靴について次のように語っている。
「靴は、面白い位置に存在している。アクセサリーでありつつ、機能性を満たさなければならない存在だから。そしてヒールがもたらす空間の構造は、ちょっとした宇宙。自分にとって服よりもクリエーションを追求しやすい媒体だと思っている」と。
同じトークショーで、加賀美は「機能と美の間」と語っているが、加賀美にとってクリエーションとは、その間を追求することであり、だから服よりも機能を強いる靴が、格好の媒体となり、しかもヒールの空間構造は、“この小宇宙をデザインしてよ”とばかりに加賀美に訴え掛ける。
加賀美の靴は、この言葉通り、ヒールがデザインの舞台だ。金属が用いられることが多く、そのデザインは一般的に想像するヒールのスタイルを裏切る。しかし、全身を支えなければならない靴を支えるという、ヒールが負う絶大な機能は果たすのである。
「Kei Kagami − A Retrospective」は、過去10年に渡る、加賀美のクリエーションの集大成だ。「A Retrospective=回顧展」−−このタイトルは、まだ40代の加賀美には似つかわしくない気もするが、加賀美のクリエーションを一堂に見られるのは、我々にとっては幸せなことだ。
だが、なぜそれがオランダ、しかもほとんどの人が知らないであろうワールウェイクなのか。
実は、かつてオランダの製靴工場の8割がワールウェイクにあり、皮革・靴工業の町として400年以上の歴史を持っているのだ。
博物館は、その町の歴史を継承するために1954年に創設されたが、意欲的な企画展を行って来た。近年ではアメリカの靴デザイナー、ベス・レヴィン展、また20年も前にトキオ・クマガイ展を開催。400点ものトキオの靴を所有している。
熊谷登喜夫は、加賀美を靴デザインに引き込むきっかけとなったデザイナーであり、加賀美が博物館所有のコレクションから10点を選び、「Tokio Kumagaï – Kei Kagami’s favourite designs」と題したミニ展を同時開催している。
また展覧会はオランダのアート集団 Steinbeisser Art & Designとのコラボレーションによるもの。 Steinbeisser は、世界各地での「Kei Kagami」展を企画し、オーストラリアでも開催の予定。もちろん加賀美は日本での開催も希望しているが、「オーソライズされた博物館で開催したい」と言う。なぜならファッションを文化として位置付けることが、加賀美の常々の主張であり、自らの展覧会がその主張の具現化となることを切望するからだ。
さて、もうすぐGDS。開催地のデュッセルドルフから車で2時間走るとワールウェイク。列車利用でも、最寄りのティスブルグまで2時間強。GDSを訪れる方、ご一考を。
会期は、5月5日まで。
オランダ皮革靴博物館 Nederlands Leder en Schoenen Museum=Elzenweg 25. 5144 MB Waalwijk the Netherlands
Kei Kagami Autumn/Fall 2004/05
(プレスリリースより)
Fountain dress at Mode Biënnale, 2009
(プレスリリースより)