shoes
Posted on 2012/08/13
「スペクタス」
「グッドイヤーが確立されて以来、革新的なイノベーションをなかった。僕は、靴に取り組みながら、次世代の靴のビジョンを考えて来た。革靴でもなく、スニーカーでもなく。その両者の良いところを兼ね備えた靴…」。
そう語るのは、「オーセンティック・シュー&コー」「フット・ザ・コーチャー」で知られる靴デザイナー、竹ヶ原敏之介。
そして生まれたのが「SPECTUSSHOECO.(スペクタス)」だ。
その第一弾が、アメリカのボア・テクノロジー社のレーシング・システムうを採用したモデル。
BOAレーシング・システムは、スノーボード用ブーツなどで知られるが、踵部に取り付けたダイヤルの操作で靴の脱着を可能にした、画期的なシステム。ダイヤルを回すと、仕込まれたワイヤーを緩んだり、締まったりし、簡単に脱ぎ履きでき、またフィッティングの微調整もできる。
このシステムの採用によって、靴のスタイルは革新されるが、そのテイストによりマッチさせるために、アッパーは、シーム(縫い目)をなるべく少なくしたデザイン。それに合わせてフラットソールを採用しているが、内部にヒールが仕込まれており、ヒールピッチの計算によって、歩行時に足が真っ直ぐに出る、つまり人間工学を用いた設計になっている。
7月からオーセンティック・シュー&コーの直営店「ギャラリー・オブ・オーセンティック」他、新宿伊勢丹、インターナショナル・ギャラリー・ビームスなどで販売されている。
小売価格は、44,100円。
「TO & CO.」
濱田比止志と若林正裕が創り出す「TO & CO.」は、インターナショナルに流通している、数少ない日本靴ブランドの一つだ。特徴はクラシックなテイストだが、例えばパリあファッション靴ブランドそのものの特徴であると認識されている節があるくらいだ。
今シーズンも、そのテイストは変わらないが、1970年代後半~80年代前半に見られたミックスカルチャーやニューウェイブをテーマにデザインしている。
インディーズのファクトリー・レーベルからデビュー・アルバムを出し大ヒットしたロックバンド、ニュー・オーダーや、ファクトリー専属のグラフィック・デザイナーとして数々のヒット・アルバムのデザインを手掛けたピーター・サヴィル、また日本のテクノポップ等々。
ということがテーマということだが、クラシックに反して、かなりポップでケミカル。
要するに相反する要素を共存させるのが狙い。温もりを感じさせる「TO & CO.」らしい素材と箔押しや豹柄のポニーとの組み合わせ、またクラシックなアッパーには、マルチカラーのラバーソール、クレープソールとビビッドなカラーのEVAソールを組み合わせたり。
クラシック感を好む、「TO & CO.」ファンも、今シーズンのトレンドが楽しめるようにデザインしている。
◎ショールーム・フーゾオラリオ=東京都港区東麻布2-28-6 TAC東麻布101 TEL03-6277-6116
「カルソーアースシューズ」
アースシューズと聞いて、あの靴…という人は、靴通か、靴の世界でキャリアの長い人だ。
そう、アースシューズ(Earth Shoes)は、1970年代前半に世界的にヒットした、ヒッピーのムーブメントにも繋がる、当時の自然志向を象徴するような靴だ。
考案したのは、デンマーク人のヨガ教師、アン・カルソー。ブラジルの原住民の立ち姿の美しさに感銘し、彼らが砂浜に残した足跡が、爪先より踵が低かったことにヒントを得て、長い開発期間を費やして誕生したと言われてる。
最大の特徴は「ネガティブ・ヒール」。原住民の足跡の通り、靴の常識に反して、爪先より踵が低く設計されていることだ。
これによって、背筋が伸び、自然な姿勢が誘導され、その結果、より良い歩行が実現され、膝などの関節の負担を軽減、全身を健康に導いて行く。
販売は、コペンハーゲンの質素な店から始まったが、口コミで広がり、1970年、ついにアメリカでの販売開始。それは折りしも、ユネスコが地球環境を考える日として提案したアースデイが、アメリカで初めて実行された年だった。
まさしくエコロジーの先駆けのような靴なのだが、1980年代に諸般の事情により製造販売中止。それが2001年に、アメリカのEarth Inc.によって「カルソーアースシューズ」として復活。2007年からクロンティップ・イノベーションによって、日本でも輸入販売されている。
復活したアースシューズは、アウトドア調の短靴、スニーカー調、ブーツ、またメリージェーンなどとデザイン・バリエーションが整い、価格も短靴で小売価格1万円台半ばとリーズナブルだ。
「Kalso Earth Shoes」Solar 小売価格14,490円
2013年春夏モデル(クロンティップ・イノベーション2013年春夏物展示会より)