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Posted on 2012/04/23
靴・皮革製品関連で10ブランド以上が出展
ピッティ・ウォモは、フィレンツェで開催されるメンズ・ファッションの世界的見本市。2012-13秋冬シーズン向けが、1月10~13日に開催されたが、ほぼ10年振りに訪れた。
今更ながらの再認識は、ここを訪れる男性諸君は、洒落者揃いであること。会場を行き交う来場者を見ているだけで、次のシーズンのトレンドが感じ取れる。
そして新発見は、靴ブランドの出展は元々多いのだが、日本ブランドが増えたことだ。
既に開催から3ヵ月以上が経っており、遅きに失する感は、そんなことを中心にピッティ・ウォモをレポートする。
正式名称は「ピッティ・イマジネ・ウォモ」。会場は、サンタ・マリア・ノヴェッラ駅から程ないフォルテッツァ・ダ・バッソ。昔の要塞を展示会場しており、展示は、いくつもの館に分かれており、一般の見本市会場とは違う趣きがある。
出展は、1072ブランド。その内、海外からの出展が411ブランド。また旧税関跡地ではレディスを集めた「ピッティW」が開催され、74ブランドが出展した。
来場者は、4日間で3万人以上。バイヤーに絞ると、イタリア国内1万3600人、海外7400人。前年との比較は公表されていないが、出展者によれば、特にイタリア国内の来場が減ったという声が聞かれた。ギリシャの債務問題に端を発した財政危機による景気後退の影響ということだろう。海外来場者の内訳は、日本がドイツに次いで第2位。
しかし、来場者&出展者のお洒落振りからは、深刻な経済状況は感じられない。
いかにも頑張っている感じの若い子、スーツ・スタイルの伊達男的紳士、ジーンズにジャケットなのにセンスが光る人、また普通なのだが身だしなみへの気配りを匂わしている人等々。来場者スナップが企画として成り立つ。展示ホールの外でカメラを構える、ファッション誌関係とおぼしき人が目立ったが、そういう意図なのだろう。
で、2012秋冬メンズ・ファッションは、どうなるか。
気になったのは、ツィード系のジャケットを軸にした着こなし。チェックのスーツでモッズっぽい雰囲気を匂わす人も。チェックは、要マークのようだ。
こんなところから予測すると、トラッドの流れは変わらないが、ブリティッシュ・カントリー系のテイストが強くなりそう。しかしポイントは、それをどう味付けするか。味付け要素としては、モッズやアメリカン・カジュアルという感じになりそう。
靴で気になったのは、サイドゴア、チェルシーブーツだ。そう言うと、ビートルズ、60年代、モッズと連想ゲームのように出て来るが、モッズ・テイストのチェルシーよりカントリー・テイストの方が気分な感じも。従ってトウはややぽっこり系のラウンド。ラストのこの傾向は、全般に通じており、またソールに重量感も求められている。これは、パンツが細めになって来ていることへの対応。
また魅力的に見えたのが、来場者が履いていたグリーンの靴。一人ではなく数人見掛けた。パンツはジーンズなどを短めに履き、靴とパンツの間からソックスを見せていた。ソックスによる演出は、マークしてよさそう。
またアクセサリー関連では、スカーフ。しかも普通っぽいパンツ&ジャケットに花柄の大判をさらりと。秋を待たず、ひろがりそうだ。
●〈The Pop up Stores〉はアクセサリーのためのエリア
靴の出展者も多い。プレス資料には、品目別の出展ブランド数は見当たらなかったが、イタリア、それにイギリスを含め、老舗メーカー、トレンド志向のブランド、イタリアの中堅メーカーを中心とした個性派、それを追随しようとするメーカー・ブランド、片やラグジュアリーブランド「ジミー・チュウ」といった具合。かなり層が厚い。
そして日本ブランド、及び日本人デザイナーによる靴&皮革関連ブランドが10個以上。出展エリアは、主に〈The Pop up Stores〉だ。
〈The Pop up Stores〉は、靴、バッグ、ジュエリー、時計、またフレグランスやデザイン・プロダクトなど、いわゆるアクセサリーでライフスタイルを提案しようという狙い。展示もオリジナル什器やテーブルによるオープンスタイルで、メイン・パビリオンに20カ所近く設けられているが、会場の変化付け、オープンスタイルなのでマーケット的雰囲気もあり、賑わいの演出にも繋がっている。また出展者にとっては、小スペースなので出展コストが手軽、来場者にとっては、新しいブランドを発掘する手掛かりとなっているようだ。
ここに出展した日本ブランドは、「ショセ」「H.Katsukawa from Tokyo」「TO.& CO.」「ル・パラン」「クルーズ」「クリップ」「ブロガー・ヴィダル」「Kanpekina」、鞄、革小物他が「K.T.ルイストン」「 大峽製鞄」。
その他、今回新設の新エリア「Touch!」に「スピングル・ムーブ」。
またイタリアブランドだが、日本人デザイナーのブランド「Kaoru Kaneko」が「The Pop up Stores」、それに村瀬由香の「Le Yuccas」。
それにメイン・パビリオンに、靴クリームのコロンブス。出品したのは「BOOT BLACK」。国内ではナンバーワンのシェアを誇るが、靴クリーム市場はセレクトショップを中心にファッション系に広がりを見せており、その市場を開拓するための差別化&戦略ブランドだ。ピッティ出展は、海外に販路を拓き、ブランド認知度を上げ、外から内を攻めようという戦略だ。出展は今回で3回目とのことだが、エージェントが決定。狙いは実現されつつある。
日本ブランドの概略は写真と共に記すが、ピッティは靴専門業者にとっても来場の価値ありだ。開催は1月、また春夏は6月と早いが、例えばミカムに出展する主だったメンズ・ブランドが出展しているので、トレンド情報に留まらない、バイイングを前提にした情報収集が可能。それを3月の仕入れに繋げることが出来そうだ。