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Posted on 2012/10/09
コラボのウエア、そして日本初紹介のインダストリアル・ラインも
ドクターマーチン・ショップが9月2日、青山通り沿い、骨董通りの交差点近くにオープンした。ドクターマーチンのオンリーショップは、近隣の渋谷他、全国にあるが、青山店が特別なのは、ドクターマーチン・エアウエアジャパン初の直営店であることだ。
英国本社は、2007年頃から直営店戦略を打ち出して来ているが、青山店はその流れに呼応したおり、最新のドクターマーチン・ショップのコンセプトを取り入れている。
それを明確に示すのは、ウッド使いを基調にしたショップ・デザイン。そして全体で三つの英国を表現している。
三つとは、①Shoe Shop、②Art of Industrial Manufacture、③Brand Heritage。
ドクターマーチン・シューズは、ドイツ人の医師、クラウス・マルテンスと技師のベルト・フンクが空気を内包させることにより優れたクッション性を発揮するPVC製のソールと、英国・ノーザンプトンの靴メーカー、R.グリッグスの製靴技術が結び付いて生まれた。
発売は、1960年。履き易さ、堅牢性などによって、郵便局員、警察官、工場労働者など労働者の靴として広まったが、折りしも労働運動が盛ん。自分たちの権利を主張する労働者の足元を支えたドクターマーチンは、反骨の象徴となった。時を経て70年代後半、社会体制への反発を孕み沸き上がったパンク・ムーブメントは、ドクターマーチンを選び取り、世界に広まった。そして今も、音楽をはじめとしたカルチャーと結び付き、ある精神、言ってみればライフスタイルを表す靴として根強いファンを持っている。
この歴史が示すのは、多くの人が快適に履ける、工業製品としての靴を市場に送り出し、それが庶民に支持され、世相と結び付き、結果としてファッション・アイコンになったということだ。
青山店は、この8月に発売したアギネス・ディーンとコラボレーションのウエア、バッグなどを揃え、トータル構成でファッションの部分を訴求しているが、それだけではない。英国では現在も、ドクターマーチンはワークシューズとして愛用され、スチールのトウ・キャップ入りなどの“Industrial”というライン、またコンフォートシューズ的に愛用されているシリーズも展開し、ファンを持っているが、日本には紹介されていなかった。青山店は、今後、逐次展開する予定だ。
つまり青山店には、カルチャーと結び付いたファッション・アイコンとしてのドクターマーチンと靴としての機能性の高さによって広く一般に支持されるドクターマーチンの両方が品揃えされている。これこそが、前記した三つの英国の②であり、これこそがドクターマーチンの伝統(③)。そしてだからこそ、トータル構成であっても、最終的には靴店(①)なのだ。
特にコンフォート的なラインは、英国ではライフスタイルシューズとして、広く一般に浸透している。青山店での展開は、日本市場でも英国のような状況を作り出すべく、テスト・マーケティングの意味合いを持っている。
ドクターマーチン・エアウエア ジャパンの菊地徹社長は、
「青山店は、オープン時点では、世界で最も新しいドクターマーチン・ショップだが、1週間後には、そうではなくなる。香港に同じコンセプトのショップがオープンするからだ。日本でも他都市への直営店出店を考えているが、お得意さまとのパートナーシップで進めて来たオンリーショップは、準直営店という位置付け。現在、24店舗(スペシャリティショップ含む)あるが、青山店の要素を取り入れたトータル構成への転換、逆に靴専門でと、各店舗の特性を活かす形で底上げして行きたい」。
ストックなどを除く、実効売場面積22坪。店内には英国から直輸入のジュークボックスが置かれ、雰囲気を盛り立てる。オープン初日からアギネス・ディーンとのコラボ商品が続けて動くなど、好調な滑り出しを見せている。
◎所在地=東京都渋谷区神宮前5-51-6 TEL03-6427-2030 営業時間12:00-20:00