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Posted on 2013/11/22
−−経営戦略は継続、加速に期待
投資ファンドのペルミラが、「ドクターマーチン」の親会社でブランドのマスター・ライセンスを保有するR.グリッグス・グループを買収することで合意した。買収額は、3億ポンド(約450億円)。正式契約は、2014年早々に交わされる。
周知の通り、「ドクターマーチン」は、ドクターマーチン・ソールを装着したワーク&カジュアルシューズ・ブランド。1960年代に英国の労働運動の象徴になったことに始まり、モッズ、スキンヘッズ、さらに80年代のパンク・ムーブメントにおいても、彼らの精神性を象徴するものとして着用され、「ドクターマーチン」は、サブカルチャー、ユースカルチャーのアイコンとして支持され続けている。現在、世界30ヵ国で販売され、26の直営店と36のフランチャイズ&パートナーショップを展開している。
ペルミラは、1985年に欧州で設立されたプライベート・エクイティ・ファンド。2001年からグローバル展開を開始し、消費財、工業製品、金融サービスなどの分野をカバー、ファッション関係ではビューゴ・ボス、ヴァレンティノ、また日本の回転寿司チェーン、スシローにも投資している。
買収に向けての動きは、ドクターマーチン側から。グリッグス・グループのCEO、デイヴィッド・サデン氏は、自身の年齢も考慮し今後の事業展開の活性化を図るために売却の動きをして来た。今回、ペルミラの他にも数社が名乗りを挙げたが、グリッグス・グループが出したコメントによると「買収額は最高ではなかったが、ドクターマーチンのヘリテージとスピリッツを最も理解していたことからペルミラに決定した」と言う。また、株式の20%は持ち続け、マスター・ライセンシーとしての立場は保持する。
最も注目されるのは、買収後の事業展開だ。近年、マーチンは直営、フランチャイズ&パートナーショップの形態を問わず、ワンブランドショップの出店、またイギリスのスーパーモデル、アギネス・ディーンとのコラボレーションなどでトータル化に力を入れているが、この戦略は継続。加速されると見られる。
グランジなどロック・ファッションがトレンドになっていることもあり、ドクターマーチンの売上高は好調。今期業績予測売上高1億9000万ポンド・利益(EBITDA)3200万ポンドを、同2億700万ポンド・同3600万ポンドに上方修正している。
※EBITDA=税引前利益に支払利息と減価償却費を加算したもの
ーー台湾系投資ファンドとタッグ
イタリアのファッション業界プレスが報じたところによると、ブルーノ・マリの株式を保有するイギリスの投資ファンド、フォーテラス・キャピタルが、ブルーノ・マリ売却に向けて、韓国の大手アパレル企業E−LAND(イーランド)と台湾系投資ファンドCDIBキャピタルから成る投資家グループと交渉に入った。
ブルーノ・マリは、周知の通り、イタリアの老舗高級靴メーカー・ブランド。日本市場での歴史は長く、現在は、百貨店を中心に展開されている。
E−LANDは、韓国のアパレル小売チェーン。婦人、子ども、インナーウエア、スポーツなど約200ブランドを保有。この中には、イタリアの靴ブランド、ストール・マンテラッシー、バッグのマンダリーナ・ダック、ココッチネーリなどが含まれ、展開店舗数は、韓国他10ヵ国・1万店以上に及んでいる。また、日本市場にも進出しており、今春、婦人ブランド「ミッソ」日本第1号店を、横浜そごうにオープンしている。
CDIBキャピタルは、2006年、台湾のCDF(China Development Financial)の投資部門として設立された投資ファンド。香港をベースに活動している。