people & talk
Posted on 2013/9/12
靴は、コンテクストによって自在に変化する。
私が靴をデザインする理由です。
昨年のプルミエール・クラス(パリ)、気になるブランドに出会った。
「ZOE LEE」だ。
トレンドばりばりというのでは、全くない。むしろ地味でさえあるが、その中に光るものがある。それは素材だったり、ちょっとしたフォルムの変化だったりするが、そこに時代の空気感(=トレンド)を感じる。最近では余り見なくなったテイストだ。
デザイナーは、ゾイ・リー。母は日本人、父はカナダ人。カナダ・トロントで生まれ、少し日本、多くを香港で過ごし、デザインを学んだのは、ロンドンのセント・マーチン、及びローヤル・カレッジ・オブ・アート。マノロ・ブラニクの指導を受け、2003年、ヴィヴィアン・ウエストウッドの元でデザイナーとしてのキャリアをスタートさせた。そしてその後、幾人かの英国デザイナーのために仕事をし、2012年1月、自身のレーベル「ZOE LEE」を発表した。
この夏、2014年春夏コレクションを携えて、来日した。改めてインタビューした。
−−靴をデザインのフィールドとして選んだ理由は?
ZOE まず興味を惹かれたのは、靴のクラフト性です。そして靴は足に履いて歩くものだから、自ずとデザインに制約があります。でも、反面で変幻自在に変化します。
−−どういうことでしょう。
ZOE 例えばプレーンなハイヒールがあったとします。それをあなたが履いたのと、私が履いたのでは、与える印象が異なり、同じ靴には見えないでしょう。
靴は、履く人の年齢、イメージ、価値観、またお天気なのか、どしゃ降りなのかといった環境、シチュエーションによっても変化します。言ってみれば、靴は、言葉のようにコンテクスト(文脈)によって変化します。
それが、私にとっての靴の大きな魅力です。
−−靴をそう捉えることが、デザイン手法に影響を与えていますか・
ZOE 私は、装飾は好きではありません。デザインにおいて重視しているのは、シルエット、それに素材です。革であれ、テキスタイルであれ、時には独自の加工を加えたり、また2種、あるいはそれ以上を組み合わせると、装飾以上のデザインの変化が生まれます。そして時の経過を超えて生き続ける靴を生み出すことができます。
−−すると、製造技術にもこだわりますか。
ZOE もちろんです。靴はクラフトですから、技術は重要。高級靴の産地として知られるベニスの近くの工場で作っています。
−−ところで活動のベースは?
ZOE ロンドンですが、最近はパリで過ごすことが多くなっており、9月にパリにショップをオープンします。小さな店ですが、是非、遊びに来てください。
「ZOE LEE」は、9月13〜17日のロンドン・ファッションウィーク、及び同27〜30日のパリ・プルミエールクラスに出展する。
また、ショップのオープンは、9月26日。所在地は、次の通りだ。
●SHOP ZOE LEE=9 rue du Parc Royal, Paris, 75003 (Marais) France
すべて2014年春夏コレクションより。