クロコダイルのタンナー藤豊工業所が、柏タカシマヤに直営店をオープン
タンナーの藤豊工業所(東京・墨田区、藤城隆一社長)が3月17日、千葉・柏市の柏タカシマヤに初の直営店をオープンした。別会社による出店、また工場近くにアンテナショップという例はあるが、タンナーが直接出店というのは希だ。
加えて藤豊は、エキゾチックレザー、つまりハ虫類革専門。なかでもクロコダイルを主力としている。
創業は、昭和25年。原皮から鞣し、染色、仕上げとすべてを独自のこだわりをもって行う。看板のクロコダイルは、90日以上の工程を経て、従来のイメージを払拭するクロコダイルになる。
それを象徴するのが、ピカピカ光っているのがクロコという常識に反する、マット仕上げのクロコダイル。その代表がブライドル。蜜蝋を染み込ませることによって表面に白い粉が浮き出ている、あのブライドルレザーの仕上げを施したクロコダイルだ。奥深く含浸させた蜜蝋などのワックス成分が浮き出た様はマットの極みであり、使えば使うほど艶を増す。
また、植物タンニンで鞣したヌメのクロコダイルもある。それを本藍や柿渋で染めているが、その開発には10年を費やしたと言う。
2019年には、パリのファッション素材見本市「プルミエール・ヴィジョン」に出展。パリの老舗バッグメゾンに取り上げられた実績を持つ。
「クロコダイル製品というと高価でよそ行きのイメージですが、クロコはそもそも経年劣化が非常に緩やかで美しさを長く保てる素材です。それが磨き上げたマット仕上げの技術と100%水染めによる透明感のある色によって新品の時は適度な艶、そして使い込むほどに深みのある艶に変化していきます。それを見て、手に取り、実際に味わっていただくために直営店をオープンしました」(藤城耕一専務)。
ショップに並ぶのは、同社敷地内に併設された工房で製作された財布、ベルト、バッグなどのオリジナル製品、それにオリジナルブランド「FlLEDGE(フレッジ)」のクラッチなど。また、オーダーメイドやパターンオーダーも行う。
さらに日本各地の革職人や皮革製品メーカーの製品を紹介するHOP-UPスペース「TILLON(ティロン)」を常設している。
その第一弾は、漆塗りの技法を取り入れた姫路黒桟(くろざん)革の唯一の作り手、坂本商店をフィーチャーし、オリジナルのボディバッグなどを紹介。4月26日からは、“幻の染め”と言われる「黄櫨染(こうろぜん)」を現代に蘇らせ、世界的な染め師として知られる奥田祐斎氏の「夢こうろ染め」を取り上げ、シルクやカシミアのストールなど、また藤豊のクロコダイルとのコラボ製品も展開する。
・所在地:JR東日本・東武アーバンパークライン柏駅直結「柏タカシマヤ」6階
・営業時間:10:00〜19:30(施設の営業時間に準じる)
・電話:047-144-1111(柏タカシマヤ代表)



上から「FLEDGE」のクラッチ、長財布、タイコが並ぶタンナー藤豊の心臓部