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Posted on 2012/04/23

連載 about Foot and Shoe 2
靴にまつわる間違った常識 その1
足が痛いのは、靴が小さいから…

靴ジャーナリスト 大谷 知子

 靴による足の痛み、これは堪らない。
 靴擦れも痛いが、足が地面に着く度に、足の前の方に感じる、ジンジンするような痛み、あれは堪らない。特に階段を下りる時が、恐ろしい。普段は上りを避けるが、こんな痛みがある時は、上りの方がずっと楽。下りは、痛みが数倍に増す。
 こんな時、痛みの原因は、何だと考えますか。原因など考えたこともなく、靴とは、そういうものだと思っている人が多いかもしれない。
 履き易い靴で知られる老舗靴専門で数十年、販売に携わり、多くの固定客を持っていたベテランが、教えてくれた。
 「足が痛い原因は、その多くが、靴が大きいことにあります」。
 ウソっ!!と言うだろう。しかし、真実だ。
 歩いている時、地面に足が着くと、足はやや伸び、かつ次の一歩を踏み出すために、指先で蹴っている。この時、靴の方が大きくて、足と靴が一体で動ける状態ではないと、足は靴の中で前方に滑ってしまう。この結果、本来は足全体を使って歩くべきところが、足の爪先側だけで歩いているような格好になり、爪先側に負荷が掛かり過ぎ、それが痛みを発生させる。
 足の痛みの多くは、この前滑りが原因であり、前滑りは、前記の通り、大き過ぎる靴、あるいは緩い靴によって引き起こされるのだ。
 足が痛いと、靴が小さいと考えがちだが、それは間違い。痛かったら、靴が大きいことを疑った方が適切なのだ。

●足を測ったもらうことから始めよう
 そもそも靴と足とのフィットは、服のように単純にサイズ、つまり寸法の問題ではない。足と靴が一体で動き、靴が足の運動を妨げないように、押さえるべきところは押さえ、支えなければならないところは支え、自由な運動が必要なところには運動のスペースが保たれているということだ。
 靴が小さ過ぎても、こういう状態にはならないが、小さい場合は、まず足を靴に入れにくいし、靴が足を締め付けるので、きついと感じる。大きい場合は、逆に足を簡単に入れることができるし、ゆったりした状態を、一般的には楽と感じる。どちらを良しとするかと言えば、当然、「きつい」より「楽」。結果、大き過ぎる靴を選んでしまいがちだ。  では、どうしたら適切な靴に出会えるか。第一歩は、足を測ってもらうことだ。
 シューフィッターの認定証が店内に掲げてあったり、百貨店などでは、独自でシューコンシェルジェなどの名称で、靴にまつわる相談を受ける専門スタッフを置いているところもある。こういうところなら頼めば測ってくれるはずだ。  計測箇所は、一般的には次の三つだ。
 ・足長=足の長さ。踵のいちばん出っ張ったところからいちばん長い指の先端までの長さ
 ・足幅=足の幅。親指と小指の付け根を結んだ距離
 ・足囲=足の周囲寸法。親指と小指の付け根を通る周囲の長さ

●思い込みは禁物。自分の足の特徴をしって履き比べる
 しかし測る目的は、値を正確に知るというより、第一の目的は、自分がそうと思っているサイズが正しいかどうか確認するため。ある靴専門店が顧客の足を測ってみたら、7~8割の人が、自分のサイズを誤認していたという調査結果があるくらいだ。自分は24㎝だと思っていたら、測ったら、足長が228㎜しかなかった。こんな例は、決して珍しいことではないのだ。スタートラインが違っていたら、足にフィットする靴には出会えない。
 第二の目的は、自分の足の特徴をつかむためだ。特徴とは、標準より細め、また幅はそこそこにあるが薄い、あるいは太いといったことだ。これは、自分では判断できないので、計測者に聞く。ちゃんとしたシューフィッターやシューコンシェルジェなら、聞く前に教えてくれるはずだが。
 こうして自分の正しいサイズ(足長)と足の特徴が分かったら、靴を購入する際は、必ず履き比べてみることだ。
 日本のサイズは、足入れサイズといって、「23.0㎝」と表記された靴は、足の実際の長さが23.0㎝の人用ということ。付け加えると、「23㎝」表記の靴の実際の長さは、23㎝より長い。前段で記した通り、歩行時に足はやや伸びたり蹴り出したりするので、その運動空間を確保するために、履く人の足の長さより長く設計されている。フィットの観点から言えば、この爪先の運動空間が保たれるようなフィッティングでなければならないということだ。
 それで実際の長さが228㎜だったとすると、サイズ23㎝だけでなく、その前後、またデザイン違いも試してみる。履き比べるとは、そういうこと。履き比べることを続けているうちに、サイズ違い、あるいはデザイン違いで、足を入れた感覚が微妙に違うことに意識が向くようになり、フィットしている感覚がどういうものか、また自分の足には、どんなタイプの靴が合うかが分かってくるはずだ。
 思い込みは、禁物なのである。