Fashion&Culture
Posted on 2012/04/09
スプツ二子!と串野真也のコラボレーション
「超群島 HYPER ARCHIPELAGO展」と題したアート展が、表参道沿いのファッションビルGYREの「EYE OF GYRE」で、4月16日まで開催中だ。東日本大震災から1年を迎えた今、今後の日本が目指すべきグランドデザインや意志決定のイメージを提示しようとする展覧会だ。
ここにスプツ二子!と串野真也のコラボレーション作品「菜の花ヒール」が、出品されている。
スプツ二子!は、メディア・アーティストと呼ばれるが、ミュージシャンでもあり、自ら作詞・作曲し唄い、唄う自分をコンピューター技術を駆使してビデオ作品化し、さらにその中に登場する奇妙な機械も自作してしまうという複雑多才なアーティスト。その彼女が除染効果で注目される菜の花に着目、それに靴アーティスト串野真也が賛同し応えることで「菜の花ヒール」が生まれた。
カウンター部に菜の花の種が入ったタンクが取り付けられ、歩くことでタンクが回転し、ヒールの先端から種が落ちる。ヒールを履いて、放射能で汚染された福島の大地を歩くと、菜の花の種が蒔かれ、汚染された大地はやがて菜の花畑となり甦り、福島の農業が再生する。
靴が靴としての機能を保ちつつ、美しいアートとして創り上げられ、それが種を蒔くという機能を持った装置として完成されている。
しかし、靴だけが作品なのではない。
靴=装置をデザインする串野が、福島を訪れ地元の人と交流&取材し、出来上がった「菜の花ヒール」をスプツ二子!自身が履いて歩く。それがビデオの撮り、メディア化することで活動全体を作品化している。
GYRE(ジャイル)は、シャネル表参道店が入るビル。「EYE OF GYRE」は、その3階だ。
串野真也は、大震災後、昨年末に参加したチャリティイベントのために「Reborn」という作品も制作している。それを併せて紹介する。
串野は、これまで動物をモチーフにした作品を多く発表して来たが、「僕の中心にあるデザインソースは、アースデザインとファイナルデザイン。自然の流れによって変化しながら創られるデザインがアースデザイン、地球全て事象が繋がっており、物の形はその形状にしかなりえない。それがファイナルデザイン。それぞれ我流でそう呼んでいます。だから動物も植物も、僕にとっては差異のないものです。『菜の花ヒール』は、福島に行って地元の方々と話したということもあって、一人で考えるデザインではなく、人とのコミュニケーションを意識しながら制作したので、作品に対する思いがさらに増し、ファッションという意識を超えました」と語っている。
串野真也ホームページ http://masayakushino.jp/
GYREホームページ http://gyre-omotesando.com/
菜の花ヒール
Reborn