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Posted on 2013/10/27
−−個人事業者でも応募可能、締切は11月15日
経済産業省は、ミラノで開催の国際靴見本市ミカムにジャパンブースを設置しているが、来年3月2〜5日に開催のミカムに向けて、10月17日、出展者公募を開始した。
ジャパンブースは、日本の革靴を世界に広くピーアールし、海外展開を促進するための事業。2008年9月にスタート。6年度目事業となり、来年3月は、12回目の設置となる。
ミカムは、イタリア靴メーカー協会主催の国際靴見本市。ミラノ郊外のロー見本市会場で毎年3月と9月の2回開催される。この9月は、出展者1,581社(うち海外593社)、来場者数は38,621人(同20,802人)で、世界最大規模を誇っている。
ジャパンブースは、その7号館に設置され、広さは102㎡。7号館は「Women trendy shoes and mixed footwear」というセグメント。メンズを含むカジュアル・テイストの商品を集積している。また5号館(Women trendy shoes)とセットになっており、ジャパンブースは、メイン動線となる5号館との境の通路沿いだ。
公募出展者数は、10社。
応募条件は「日本製の革靴、及び革製履物」であること。日本製とは 「①メイド・イン・ジャパンを付していること、②日本で鞣された革を材料にしていること(靴・履物の原産国は問わない)」。これ以外に企業規模など問われず、個人事業者も、応募できる。
ただし出展の可否は、有識者で構成される選定委員会の厳正な審査によって決定される。
この9月は、出展10社中4社が受注した。
そのうち初出展での受注が2社あったが、成果を出した出展者に出展後の感想を聞いてみた。
●(株)ディレクション(大阪市生野区)代表取締役、松岡繁正さん
「当社の製品は、袋縫いのくったり感が特徴の、いわば靴らしくない靴。靴の本場で果たして通じるのか。ゼロを覚悟で出展したが、数はいずれにしろ受注できた。日本が自動車などで培った“Made in Japan”の信頼が、ブランドとして世界に認知されており、その背景あっての成果と思っているが、当社のような製品にもニーズがあるということであり、ヨーロッパのマーケット性を考慮した商品企画に力を入れ、次回の成果に繋げたい」。
●(株)アイ・エフ・ビー(大阪市西区、三井文夫社長)海外ディレクター、重岡純三さん。
「当社で開発したエコレザー“ポルティラ”の拡販を目的に、“ポルティラ“をアッパー材に使用した靴で昨年9月初出展。特徴を出すために靴作家の森田圭一さんにデザインと靴づくりをお願いしたが、全く反応がなかった。そこで商品戦略を見直し、2回目の今回は、“ポルティラ”の白を生かしつつ一般性のあるデザインに落とし込んだ「PKM(Portierra by Keiich Morita)」ブランドをメインに打ち出したところ、受注できた。商品戦略の見直しは間違っていなかったということだが、受注数を上げるには、まだ価格が高すぎるので、素材自体の産地の見直しなどによってコスト削減を図り、次の成果を目指したい」。
●(株)ヴァーブクリエーション(東京都台東区、中川宏明社長)ディレクター、猪俣工さん
「当社は、4回目の出展。ジャパンブースが4号館にあった時から出展している。現在、ブースがある7号館は、4号館と比較すると、価格帯が低めの出展者が含まれ、来場するのはボリューム狙いの小売店中心と予想していたが、今回受注したイタリアの小売店は感度が高く、またニューヨークからの受注もあった。反面、前回受注したロシアの小売店の来場はなかった様子。ジャパンブースを必ず覗くという来場者が増えると、ジャパンブースの価値が上がると思うが、7号館について言えば、一概にボリュームとは言えず、ファッション感度の高い小売店が来ており、その点では期待が持てる」。
応募締切は、11月15日。公募の詳細、また応募用紙は、下記のMICAMジャパンブース出展事務局ホームページで入手できる。
http://www.micam-japan.net/
●MICAM・JAPANブース出展事務局=〒106-0032 東京都港区六本木6-1-24 ラピロス六本木4F
Tel:03-5786-3168 Fax:03-5786-3162 e-mail:info@micam-japan.net 担当:渡辺、川谷
−−品質向上を目的に自社工場も開設
浅草の婦人靴企画卸、(株)クロスロード(田辺章社長)が、好調だ。先頃迎えた25年6月期決算の売上高は、前期比104%の52億円。これは、キャラクター問屋と言われる企画卸の中では、トップの水準。また婦人靴卸全体では、20位台と推測され、上場企業の(株)卑弥呼の25年3月期決算57億7500万円に迫る数字だ。
好調は、ジョッキーブーツのヒットから始まった。それにウォッシュ加工のシリーズが続き、そして3年前のレインブーツのビッグ・ヒット。好調の要因は、ファッションとマーケットの動向を的確に捉える企画力の向上にある。
そして前期中の注目すべき動きは、自社工場の開設だ。言うまでもなく、人手不足、また国内生産ではマーケットの求める価格に合わないことから中国を中心に海外での生産が常識のようになっており、廃業に追い込まれるメーカーも少なくない。こうした状況に完全に逆行する動きだ。
「当社も中国で生産しているが、どうしても満足できる品質にレベルアップできず、最終的にお客さまに満足していただけない。品質とは、例えば床革のカウンターを使うなどといった履き心地に影響する部分だが、こうした品質を実現するには、国内で作るしかないが、それでは小売価格が高くなり過ぎてしまう。自社工場で作れば、中間マージンを省くことができるので、価格、品質共にお客さまのニーズに近づけることができる」(田辺章社長)。
工場は、製甲は外注し、底づけだけだが、人員は、資材調達スタッフも含め合計20人ほどの態勢。そのうち経験者は、底づけ3人、仕上げ2人。他の製造スタッフは、すべて新人だ。給与は、「安心して仕事に打ち込み技術を磨ける環境を作りたい」(田辺社長)という考えから月給制を採用している。
生産能力は、現状では、日産150足。自社ブランドの生産のみ。日産250足まで持って行くのが、当面の目標だ。
これだけ本格的な工場を開設したとなると、当然、その先にあるのは直販、つまり直営ショップの展開だ。
現状でも、百貨店は自社ショップ的な展開になっており、有楽町マルイでは「キートス」の店名で本格ショップ的な展開をしており、年間1億3000万円を売り上げている。
「工場を作るからには製造小売という業態を当然、描いており、ファッションビルなどから出店の誘いがないわけではないが、既存のお取引先を大切にしつつ、バランスを取りながら進めて行きたい」(田辺社長)。
なお、同社の基幹ブランドは、「サバサバ」と「あしながおじさん」だが、ケミカルのファッションシューズとしてスタートした創業ブランドの「あしなが」は革物、ケミカル、子ども靴もと細分化し拡大、また売上比率は、6対4で革物だけで構成する「サバサバ」が上回っている。